西国三十三所観音巡礼 第十一番札所 深雪山 上醍醐 准胝堂 【醍醐寺】

醍醐寺は、上下両醍醐に分れており、醍醐天皇の勅願寺。山中に湧出する水に因んで寺名としたと伝えられています。
西国三十三所観音巡礼の札所は上醍醐にある准胝堂で、標高400mの山上に位置し、参道を約1時間ほどかけて登るという難所としても知られていましたが、残念なことに平成20年の8月、落雷により准胝堂は焼失してしまい、現在は醍醐寺の下伽藍にある観音堂で准胝観世音菩薩を祀り、納経を行っています。
本尊:准胝観世音菩薩
御詠歌:逆縁も もらさで救う 願なれば 准胝堂は たのもしきかな
醍醐寺の総門を潜り、まずは三宝院から観せていただくことにしました。


三宝院は永久3年(1115年)、醍醐寺第十四世座主、勝覚僧正により創建されたそうです。醍醐寺の本坊的な存在であり、歴代座主が居住する坊とのことでした。ちなみに座主(ざす)とは天台宗を代表する僧侶のことだそうです。
有名な三宝院庭園は、国の特別史跡・特別名勝となっていて、豊臣秀吉が「醍醐の花見」に際して自ら基本設計をした庭で、桃山時代の華やかな雰囲気を伝えています。








ちょうど特別拝観もやっており、普段非公開の本堂や苔庭なども観ることができました。

本堂と苔庭です。本尊が快慶作の弥勒菩薩であるため、別名「弥勒堂」といわれているそうです。

三宝院の朱印所でいただけるご朱印です。


仁王門(西大門)を潜ると下伽藍と呼ばれるエリアに入ります。



下伽藍の中心である醍醐寺の本堂である国宝の金堂は、豊臣秀吉の命によって、紀州(和歌山県)の湯浅から移築されたもので、主要部は平安末期の様式を完全に残していると説明されていました。




国宝の五重塔は、醍醐天皇のご冥福を祈るために朱雀天皇が起工し、村上天皇の天暦5年(951年)に完成したそうで、京都で最古の建造物といわれているとのことでした。
そこから不動堂、真如三昧耶堂などの伽藍を拝観しながら日月門を潜りって現在の西国三十三所巡礼の札所となっている観音堂をめざしました。


観音堂は以前、大講堂として使用されていましたが、焼失した上醍醐の准胝堂にあった西国札所がここへ仮に移され、観音堂と改称されて西国三十三所第十一番札所の他に、総本山醍醐寺、真言宗十八本山、神仏霊場会、近畿三十六不動尊霊場第二十三番、西国薬師四十九霊場第三十九番、役行者霊蹟札所の御朱印・納経所となっています。
ここから奥に進むと紅葉の名所として知られる弁天堂があります。



弁天堂には音楽などの学芸や知識の女神であるとして広く知られている弁才天が祀られています。
いよいよ難所と言われる上醍醐への巡礼へ向かいます。




上醍醐の登山口手前にある成身院は、昔、女性が此処から山上の諸仏を拝んだことから、通称「女人堂」といわれているそうで、本尊には、山上の准胝観音の分身が祀られています。
入山料を支払い山頂を目指して出発!参考までですが、参道は尖った石などがむき出しになった道も多く、靴はスニーカーよりもトレッキングシューズのような靴底が硬めでしっかりした靴の方がかなり楽です。また、山頂近くまでトイレもありませんので済ませてからの方が無難かと思われます。





写真を見る限り、「こんなん大したことないわぁ~♪」と思われるでしょうね(^_^;)
普段山登りを趣味にされてる方や体力に自信がある方にはそうかもしれませんが、σ(^^)にはけっこうキツイ行程でした。


1時間ほど登ってようやく上醍醐の寺務所が見えてきました。こちらの左横から参道が続きます。
最初に見えてきたのは清瀧宮拝殿です。


国宝の清瀧宮拝殿は室町時代の建物で、寝殿造りの手法を生かした気品ある風格を備えていると説明されていました。
次に拝見したのは醍醐寺発祥の地醍醐水です。




ここが聖宝理源大師が山上に立てた隠遁場所です。大師は霊力によってこの泉を発見されたと伝えられ、今でもこの霊水を飲むことができるとのことでσ(^^)もありがたくいただきました。
ここから更に石段をあがり准胝堂跡へ向かいました。


准胝堂跡地は更地になっており、供養塔が建てられていました。いつの日か再建されることを願っています。
山頂の開山堂まではもう少し参道(山道)を行かなければなりませんが、登り始めに比べれば大したことはありませんでした。
拝見した伽藍を記させていただきます。

国宝の薬師堂です。薬師堂は上醍醐伽藍の中央に位置し、醍醐天皇の御願堂として創建されたそうです。

重要文化財の如意輪堂です。如意輪堂は、醍醐寺開山の理源大師聖宝が上醍醐を開いた際、准胝堂と共に最初に建てた建物と伝えられているそうです。



醍醐山の山頂に到着しました。
こちらに開山堂が建てられています。

醍醐寺の開山、聖宝理源大師を奉安したお堂です。現在のお堂は、豊臣秀頼によって再建されたものだそうです。
山頂のベンチでしばし休憩してから少し下がったところに建つ五大堂へ参らせていただきました。


五大堂は醍醐天皇の御願堂として創建されました。本尊の五大明王は、災難身代わりの霊尊として信仰されているそうです。
お参りを済ませ、下山はぼちぼち歩いて30分くらいだったでしょうか。下で飲んだお茶がめっちゃ美味かったです(^^♪

観音堂でいただいたご朱印です。
醍醐山に登らなくてもいただけるご朱印でしたが、上醍醐准胝堂がどこにあったのか見て見たい一心で登ってみました。
しんどかったけど、楽しかったです。
所在地:京都市伏見区醍醐東大路町22
電話:075-571-0002
拝観時間:9:00~17:00(冬季は16:00まで)
拝観料:大人800円(冬季・秋季は1500円)
駐車場:あり(下醍醐・有料)
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